◆ご挨拶 (樋田 哲夫) ------------------------------
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◆Faculty自己紹介 (永本 敏之) ----------------
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◆Topics ----------------
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ロービジョンルーム紹介
論文紹介(アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離に関する全国調査結果
◆アイセンター外来スケジュール ------------------------
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◆アイセンターイベント情報 ---------------------------
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◆編集部より
ご挨拶
樋田 哲夫
新外来棟ができ私達の眼科が杏林アイセンターとして出発してすでに1年半が過ぎてしまいました。アイセンターとしての特色を明らかにして私達の夢を実現しようと努力しているつもりですが、日々の診療に追われてなかなか外の先生方にアピールできるところまでいっていないかもしれません。今後このニュースレターを通して私達の目指していること、どこまでそれが実現しているかを少しづつお伝えしていきたいと考えています。
私達がまず大事にしたいのは、大学病院としての臨床領域における幅広い受け入れ体制とその教育です。従来から日本の大学病院は主任教授の専門分野に片寄り、教授が変わると専門分野も変わってしまうということが往々にしてあります。このため一般の先生方が領域によっては紹介できる大学病院が近くにないとか、どの領域に入るのかはっきりしないがとりあえずコンサルトしたいという時に困ることになります。またこのことは一般臨床医としての訓練を受ける者にとっても不幸なことです。私達はスタッフの専門分野については特に先端の治療と教育の充実に力を入れ、かつどこからでも訓練の希望者を受け入れたいと考えています。しかし同時に外からの協力も得ながら、受け入れ可能な専門分野を広げ、三次医療までできない分野でも少なくともどこへ紹介するのが患者さんにとって一番よいかを判断できるようにしたいと考えています。藤原教授は派手な手術はされませんが
Medical
Ophthalmologyに関する知識は豊富です。私と平形、永本の3名は恩師、植村恭夫からGeneral
Ophthalmologyの重要性を叩きこまれました。岡田は米国で幅広い基礎教育を受けています。このため前述のコンセプトはスタッフ全員がアイセンターの目指す第一の根幹であるという考えで一致しています。
今後各特殊外来の現況をご紹介すること、集談会、西東京眼科フォーラム、その他の勉強会の企画を通して、そして何よりもご紹介いただいた患者さんへの対応を通して私達の目指すところをご理解いただけるよう努力する所存です。若い医師が必死に働いているのが現状ですので、不備な点も多々あることと存じます。皆様のご支援をお願いするとともに、ご意見、お叱りの言葉をお待ち申し上げます。
永本 敏之
1998年の7月から杏林大学に赴任し、早2年になろうとしております。私は慶応義塾大学医学部卒業後、慶應で10年眼科を勉強し、5年目以降は水晶体を専門としてきました。その後岡崎国立共同研究機構・基礎生物学研究所とアメリカのワシントン大学にて5年間基礎研究に従事し、帰国後直ちに杏林大学にお世話になっております。水晶体を専門とする眼科医は日本には結構いますが、アメリカの大学には水晶体専門の臨床医というのはほとんどいない訳で(白内障のボリュームサージャンは一杯いますが)、杏林でもあまり大きな顔をしていることはできず、いろいろな雑用をこなすことも私の専門となっています。杏林に赴任してまず最初に手掛けたのは、白内障手術体制の整備ならびに水晶体研究体制の整備です。
まずは白内障の手術器具の変更、眼内レンズの種類の変更、白内障手術術前検査手順とシステムの作成、白内障手術説明書の作成、白内障専用手術記事の作成を行いました。昨年の1月からはアイセンターがオープンし、これに併設した形で外来手術室も設置されており、白内障の日帰り手術を開始いたしました。外来手術の予約はコンピューターで行い、ほとんどの器具はディスポパックで再生不要とし、最新のツアイスの顕微鏡、最新のレガシー、椅子形状から電動でリクライニングさせる最新の手術台であるメプロを導入し、安全、清潔、迅速、確実な手術システムを目指しました。お陰様で、現在まで順調に手術件数が伸びております。今後は先天白内障症例ならびにアトピー性白内障症例のより一層の増加をはかりたいと考えております。特にアトピー性白内障は増加の一途をたどっており、対象が若年者で、調節力が十分に残っている点、網膜裂孔、網膜剥離、毛様体裂孔、毛様体剥離などを合併しやすい点が問題となります。幸い当科は、樋田教授、平形助教授をはじめとして網膜硝子体手術を専門とするスタッフが充実しているため、アトピー性白内障例の手術では、永本と一緒に網膜硝子体班が入り、術中の眼底検査に引き続いて最良と思われる処置を眼底病変に施し、眼底の状態に応じて眼内レンズを挿入するかどうかを決定しています。術中の強膜圧迫をしながら最周辺部の眼底検査を行うと、網膜鋸状縁裂孔または毛様体裂孔が発見される頻度はかなり高いことが分かってきました。当科では眼底病変と白内障に同時に対応することによって、術後の網膜剥離の発症を予防したり、周辺部の剥離も治癒させることができ、かなり良好な成績を得ています。しかし、中には難治性の網膜剥離が存在しているのも事実で、そのような症例に如何にして対処して行くべきかが今後の課題です。
水晶体外来は水曜日の午後に行っておりますが、永本が初診の患者さんを診させていただくのは金曜日の午前中に行っております。これをお読みになっている先生方から、白内障に限らず、子供から大人まで水晶体疾患の患者さんをご紹介いただければ幸いです。
研究に関しては、細胞培養設備の導入、蛍光・微分干渉・位相差の機能を備えた多用途光学顕微鏡を導入し、やっと実験助手を一人増員できたところであり、今後本格的な基礎実験をしていく予定ですが、杏林では基礎研究に興味を持って精力的に実験を行おうとする医者が少ないのが悩みの種です。
以上簡単ではございますが、永本と杏林アイセンター水晶体班の現状を述べさせていただきました。今後ともより多くの患者さんを紹介していただければ、光栄に存じます。
・ロービジョンルーム紹介
Kyorin Eye Center Low Vision
Room
外来棟のエレベータの音声が5階を案内したら降り、床の青いラインに沿って歩いて下さい。二つ目のアイセンター受付を過ぎ、更にラインに沿って歩いていくと右手奥に30番「ロービジョン」という一室があります。ここが、ロービジョンルームです。
ここでは視機能が低下した患者さんを対象に,視覚障害に起因する生活上の困難を解消するための情報・技術提供をしています。低下した「見え」の利用方法の説明、拡大補助具の選定、視覚障害者用日用品や施設・サービスの紹介、拡大・音声ソフトを用いたパソコン訓練など、多岐にわたります。主な担当は田中・西脇(ORT)ですが(スーパーバイザ:東女大・小田助教授)、院外の人・団体・施設とのホットラインにも助けられています。視覚障害専門職や補助具販売の方はもとより,リハビリを終え職場・学業復帰した患者さんにも協力を仰ぐこともあります.歩行訓練士の方による「白杖歩行講習会」も,様々な成果を上げてきています.
さて,ロービジョンケアは個別の対応ばかりでなく、患者さん全般に向けた活動も進めています.例えば新外来棟のバリアフリー化です.冒頭の音声案内、誘導ラインなどは、新外来棟をロービジョンの方にとってバリアフリーな建築物に、というアイセンターの要望に対し、病院が改修工事を施工した結果です。今は新病棟のバリアフリー化に知恵を絞っています。
その他,美容講習会、コンサート,近隣盲学校との交流等企画中です。今後も有用な情報にアンテナを張り、多様化するニーズに応えるべく頑張っていきたいと思います!
アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離に関する全国調査結果
(樋田哲夫・田野保雄・沖波聡・荻野誠周・井上真)
目的:アトピー性皮膚炎に伴う網膜剥離の疫学的動向と臨床的特徴の把握。対象と方法:網膜硝子体手術専門医の勤務する45施設を対象としたアンケート調査による多施設全国調査。結果:33施設から、1989年から1993年の5年間に初回手術を施行し、術後6ヶ月以上経過観察し得た348例417眼が報告された。手術眼数は1989年の42眼から1993年の132眼と段階状に増加していた。同時期の全網膜剥離手術眼に対する割合は、全国平均で2.3%であったが、関東地区では3.8%、東京地区に限ると4.7%と高頻度であり、明確な地域差がみられた。反復して眼瞼を強く擦る、叩くなどの行為が発症原因として大きく関与している可能性や、その他の臨床的特徴について従来の報告を確認する結果となった。初回術式として、78%が強膜バックリング、22%に硝子体手術が行われ、初回および最終復位率は75.3%、92.6%と不良であった。(日眼会誌103:40-47,
1999.)
コメント:
アトピー性皮膚炎に合併する網膜剥離は世界中で日本での発症率が極めて高く、しかも増加傾向にある疾患です。樋田らは本論文でこの網膜剥離の特徴と治療法の問題点を多施設データから整理し、原因解明と予防および治療法改善の必要性を述べています。杏林アイセンターでは文部省から科研費を受託して皮膚科と共同で病態解明の研究を行っています。また永本講師を中心に白内障手術法と網膜管理の関係についても検討していますので、患者様のご紹介をいただければ幸いです。(平形記)
●アイセンター・オープンカンファレンス
国内外の先生にインフォーマルな場で臨床、研究テーマについて講演していただくシリーズが去年の7月から開始いたしました。近々予定している講演をお知らせします。外来棟の10階第2会議室で6:30PMから行われます。この講演シリーズはオープンですので、アイセンター外の先生方も是非ご参加ください。
7月19日(水) 小田 浩一(東女大)「ロービジョン・リーディングの3サイズ」
8月23日(水) 島崎 潤(東京歯科大)「最近の角膜移植」
●多摩眼科集談会(特別講演)
9月30日(土) 佐藤 幸裕(駿河台日大病院)
「糖尿病網膜症の硝子体手術 ─最近の適応と成績─ 」
●西東京眼科フォーラム(特別講演)
11月18日(土) 白神 史雄(岡山大学)
「タイトル未定 」
※本年度より、専門医制度認定事業となります。
杏林アイセンターニュースレター第2号をお送り致します。Facultyの自己紹介は永本講師です。白内障手術の技術は勿論ですが、単なるボリュームサージャンではありません。ゴルフ好きで常に日焼けしていますが、実は網走という寒い土地の産にもかかわらず、色黒は地のものです。まだ医局員にもよく知られていませんが、宴会芸のレパートリーは豊富です。 (TH)