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眼窩部門
1997年7月に眼窩外来を立ち上げ、blow out
fractureなどの外傷、炎症性疾患および眼窩腫瘍を専門に症例を集めてまいりました。ここでは、今までの経験から気づいたことを述べてみたいと思います。
外傷
眼窩骨骨折、涙小管断裂、視神経管骨折が多く、眼窩骨骨折は年間100例以上が外来を訪れます。内壁骨折などは無症状なことが多く、CTを撮って初めて確認できたものも少なくありません。下壁骨折より多い印象を受けます。下壁骨折は手術適応になるものが多く、全体のうち約1割で全麻下にてシリコンプレート留置を行っております。小児の眼窩底骨折は線状骨折が多く、下直筋が骨折部に絞扼されて壊死を起こす可能性が高いため、緊急手術の対象になります。3例ほど行いましたが、術後も強い眼球運動制限が残ってしまいます。
当院は救急救命センターが活発であるためか、頭蓋部外傷の患者さんが多く搬入されます。このうち、頭蓋底付近の外傷では視神経管骨折を伴っているものが多く、15例近くを経験しました。視束管撮影では確認できず、CTでもはっきりと描出できないものが多く存在します。我々の経験では、RAPD陽性で、後篩骨洞または蝶形骨洞内に出血が存在しているものは視束管骨折があると考え、ステロイドの大量投与療法を行っております。劇的に改善する症例は少ないですが、比較的経過は良いようです。ただし、頭蓋底の外傷は脳内の他の部位に強い傷害をきたしていることが多いため、生命予後不良なものが含まれています。
涙小管断裂は顕微鏡下に直視下で断端部を検索し、シリコンチューブを留置します(pig
tail
probeは禁忌とされています)。12例ほど行いましたが、ほぼ全例で断端部を確認できました。特に緊急性はなく、受傷後1ヶ月経過した症例でも確認できました。
小児の眼球打撲では、単なる眼瞼打撲と思っていても、時として脳内に障害がおよんでいる場合があるので要注意です。
炎症性疾患
眼窩蜂窩織炎、外眼筋炎、視神経炎が多く、重症例は入院で管理しています。眼窩蜂窩織炎は鼻性より眼瞼の霰粒腫などから波及したものが多くみられます。
抗菌薬は組織移行性の高いファーストシン(第4世代セフェム)を主に用いています。近年、MRSAなどの耐性菌が問題になっているので、これらに禁忌であるイミペネムは初回からは使用しておりません。
外眼筋炎はステロイド内服で再発が多いため、ステロイドパルス療法を行っております。症状の軽減が早いだけでなく、再発も少ないです。
視神経炎はステロイドパルス療法が中心ですが、再発例にはステロイド(ケナコルト)1
ccの深部テノン嚢下注入を行っています。特に、高齢者には全身への影響が少なく、また視力改善が早く再発も無いため、有用な療法と考えております。
以上、眼窩部門の紹介と一部気づいたことを書いてまいりました。このほかにも、眼瞼内反や下垂、眼窩内異物除去(MIRAgel除去を含む)も行っています。一人でやっているため、結構きつい部分もありますが、他科と仲良くなれるので、いろいろな知識が増えてきます。皆様も是非眼窩に興味を持ってください。
左開瞼困難で来院。CTにて骨破壊像がみられ、悪性腫瘍を疑い生検施行。病理で印環細胞癌が認められたので、腺癌を疑い全身検査施行。上部消化管や肺、胸部に問題なく、大腸ファイバーにて直腸に腺癌を認めた。
6月21日〜23日、第41回日本白内障学会(会長:藤原隆明・杏林大学)・第17回日本眼内レンズ屈折手術学会(会長:稲富誠・昭和大学)が東京ビッグサイトで行われました。2201人の参加者があり、盛況のうちに閉会しました。
左) 藤原隆明教授 右)稲富誠教授
右端)
Beebe教授(ワシントン大学)。白内障学会の特別講演をされました。永本敏之助教授留学中の上司でした。
藤原隆明教授・杏林大学保健学部長就任祝い
平成14年4月1日付で藤原隆明教授が杏林大学保健学部長に就任しました。同日付で樋田哲夫教授が杏林大学医学部眼科学教室主任教授に就任しました。また永本敏之先生、岡田アナベルあやめ先生が助教授に昇進しました。6月23日の就任祝いパーティー(センチュリーハイアット東京)には杏林大学同門生105名が参加して行われました。
今年の新入医局員と両教授。
※ 山本晃先生は10月1日付をもって学内講師に昇任しました。
●アイセンター・オープンカンファレンス
国内外の先生にインフォーマルな場で臨床、研究テーマについて講演していただくシリーズです。外来棟の10階第2会議室で6:30PMから行われます。アイセンター外の先生方も是非ご参加ください。
・ 10月 9日(水)
「網膜と視神経の血流:病態・薬物・手術による影響」(仮題)
木村 至先生 (慶応大学医学部眼科)
・ 11月 6日(水) 「Current Approaches to Retinoblastoma
Management」
Dr. Shizuo Mukai(ハーバード大学)
(場所は杏林大学・大学院講堂、ご講演は日本語で行われます)
・ 11月 13日(水) 「ERG入門」
大出 尚郎先生 (慶応大学医学部眼科)
なお、11月20日(水)に予定しておりました桜庭知己先生の講演は都合により中止となりました。
●西東京眼科フォーラム(専門医認定事業・2単位)
11月16日(土) PM3:30から 杏林大学大学院講堂
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9月24日、杏林アイセンター特別講演
Harvard大学 Donald Dユ Amico教授 (Experimental and Clinical Advances
in Retinal Vascular Surgery)
8月1日、米軍横田病院の新院長が本学理事長とともに、アイセンターを見学されました。
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編集部より
忍足先生は慶應大学から杏林の網膜硝子体グループにフェローとして加わり、その後も術者として、また十分に信頼できる助手として、杏林大学に残ってくれました。もともと興味を持っていた眼窩部門を立ち上げて立派なものに発展させてくれました。近来稀な努力家であり、仕事ぶりです。あとはもう少しまともな文章がはじめから書けるといいんだけど。今回は写真の多いレターになりました。 (T.H.)