◆スタッフ紹介(三木 大二郎)

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◆ 最近の小児眼科外来(野田 英一郎)

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◆ 外来表

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◆ フェローの紹介

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◆ イベント情報

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◆ 編集部より

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スタッフ紹介
三木 大二郎

 本年4月1日付けで眼科学教室の専任講師を拝命いたしました。今まで以上に臨床、教育、研究に研鑽する覚悟でおります。
 1988年杏林大学を卒業、眼科学教室に入局し研修を開始しました。1991年公立阿伎留病院に1年間出張した後、1992年から網膜硝子体フェローとして杏林大学に戻りました。それまでも、樋田教授(当時助教授)のもと網膜硝子体手術は矢田先生、前田先生、堀江先生、熊谷先生と優秀な先生方が担当されておりましたが、完全なフェロー制度を導入されたのは熊谷先生と私のころからになります。当初樋田教授を筆頭にフェローの私まで含めわずか3名の網膜硝子体班でしたが、現在では樋田教授、平形教授を筆頭に総勢9名に上る大所帯となっています。その間、慶応義塾大学や東海大学、東京医科歯科大学などから網膜硝子体手術を学びに国内留学された先生も多数いらっしゃいます。フェローになりたての時期は期待に胸を膨らませすべての手術に入るぞと意気込んでいましたが、毎日毎日緊急手術に明け暮れていると数ヶ月でお腹いっぱいの状態になってしまいました。それでも、外来も研究も嫌いな私は、お腹いっぱいでもついつい好きな手術を選んでしまい、樋田先生には「お前は研究が嫌いだから、手術に逃げているのだろ。」と胸のうちを完全に見透かされていました。
 1994年助手になった後、1997年10月からDuke大学Eye Centerに留学する機会を得ました。Diane Hatchell教授の元、糖尿病に対する膵臓islet cellの網膜下移植による血糖コントロール、角膜穿孔に対する新しい接着剤の応用などをテーマに研究していました。Labの主だったテーマは糖尿病で、この研究はすでに井上先生(現慶応大講師)が行っており、やることがないなら、生体接着剤の研究でもしてみるかということで、専門の網膜ではなく角膜穿孔に対する接着剤のテーマを与えられ棚ぼたで論文もcorneaに発表することができました。留学する前、樋田教授から「研究の嫌いなお前だから、1年の留学で仕事ができるとは期待していないから、ゆっくり休んでこい。」といわれ、気軽な気持ちで留学生活を楽しめました。また、私が留学した年はMachemer教授の退任の年でもありました。私にとってはMachemer教授は樋田教授の恩師でありあこがれの存在でした。その教授の最後の年に留学ができたことは非常な喜びでもありました。今でも、Machemer教授の最終講義を聴講できたことを誇りに思っています。
 帰国後、留学中の論文で博士号を取得し、昨年学内講師を拝命し、本年専任講師とならせていただきました。杏林の卒業生としては始めての網膜硝子体フェロー、海外留学、専任講師とならせていただきました。私自身のことだけではなく、杏林大学出身の若い先生たちが、あんな三木でもなれたんだからと後に続いてくれることを期待しています。それまでの道は何とか作れたと自負しています。皆さんどんどん留学して、どんどん博士号をとって、最後には杏林卒業生の主任教授が出てくれるようがんばってください。私もできる限りがんばります。

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最近の小児眼科外来
野田英一郎

 小児眼科外来は、1992年に河合佳江先生が斜視・弱視外来として開設されました。1996年に浅川学先生に引き継がれて8年間続いておりましたが、2004年より浅川先生の開業に伴い、国立成育医療センターでの研修を終えた私が入れ替わりで担当することとなりました。
現在小児眼科斑のスタッフは私の他に鈴木先生、宮本先生、川瀬先生の3人がレギュラーで活動しており、浅川先生も非常勤でお手伝いして頂いております。現在、小児眼科班は主に以下のような活動をしております。
(1)小児眼科外来
 金曜日午後に完全予約制で行っております。斜視・弱視の治療・管理が主ですが、先天異常や未熟児網膜症の退院後のフォローなど、小児の眼疾患全般を扱っております。
 斜視症例は小児だけではなく成人も含まれているため、年齢に関係なく診察しています。成人例は子供の頃からの斜視を気にして来院される方が多いですが、総合病院ということで外傷や脳梗塞等による続発性の斜視が他科から紹介されてくることもあります。幼少期からの斜視を成人してから気にして受診される方が意外に多く、小児の斜視へのムンテラにも反映させるべきか思案中です。
手術は月曜日・水曜日に行っています。小児には全麻下で行っておりますが、成人には原則的に局麻で日帰り手術をしております。
平成16年度の手術件数は24件で、内訳は斜視19件、睫毛内反3件、眼位性眼振と先天眼瞼下垂が各1件でした。網膜硝子体班に比べるべくもない件数ですが、今後症例を増やしていきたいと思っています。

(2) 未熟児網膜症の管理
 火曜日午後にNICUにて眼底検査を行っています。重症例は平形教授や浅川先生と週2〜3回検査しています。網膜光凝固を施行しても増悪し、網膜剥離に至った場合は、国立成育医療センターの東先生にご紹介し、硝子体手術をお願いしています。
平成16年度は63人に検査を行い、うち5人に網膜光凝固を施行しました。大学病院のNICUということもあり、低体重児や全身合併症のある子が多く、出生体重1000g未満の超低出生体重児が16人と約4分の1を占めました。在胎27週2日、出生体重566gの子が最小でしたが、国際分類stage3Aまで進行したところで入院中に亡くなっています。
 網膜光凝固を施行する時などは夜遅くなることも多いのですが、有り難いことに小児科の先生方や看護師さんたちが気持ちよく協力して下さっているため、スムースに検査・治療が出来ています。網膜光凝固の後、増殖性病変が消退して網膜血管が伸びて来たときのほっとした気持ちは、他では味わえないものと思います。

 小児眼科は現在のところ華々しい分野とは言えませんが、子供のその後の数十年の人生を左右する重要な分野であると思います。興味を持つ先生が増えてくることを望むとともに、これからも多くの症例を紹介していただけますと大変嬉しく存じます。


67歳女性、Helveston症候群
(A型間歇性外斜視、両眼上斜筋過動、交代性上斜位)。右眼水平筋前後転及び水平移動(trick surgery)にて治療。

 


未熟児の診察風景。右は小児科の野田先生


(後列左から)鈴木由美,志和芳子,野田英一郎,高崎三保子
(前列左から)宮下順子,新井智恵,堀井史代,川瀬英理子

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外来表

フェロー紹介
山岡 青女

 平成17年4月より、5年ぶりに院内に戻ってまいりました。5年前に一度帰室した時は、角膜フェローとして勉強させて頂いていたのですが、わずか1年で、一身上の都合により、また院外に研修の旅へと出て行きました。その後勤務していた病院では、なぜか網膜・硝子体疾患に携わる機会が多く、角膜疾患からはどんどん遠ざかっていく日々でした(江見先生、斉藤先生ゴメンナサイ)。またその間、Hawaii大学にも留学させて頂いて、黄斑部・網膜・硝子体のresearch fellowshipを終了しcertificationまで頂きました。というわけで、もはや後戻りはできず、毎日、往復3時間の通勤時間に体力の限界を感じながら頑張っています。どうぞよろしくお願いいたします。

二神 創

  4月から杏林大にお世話になり、早くも2ヶ月程経ちました。新しい環境や、網膜硝子体という自分にとっては不慣れな分野に少々戸惑いましたが、30代後半になって新しいことに挑戦できる機会が与えられたことに感謝しています。東京医科歯科大ではこれまで主に白内障手術と強度近視という分野を担当してきましたが、今までの経験がこれから学ばせていただくものとうまく融合できればと思っています。少しでも杏林大に貢献できますよう頑張りますので宜しくお願い致します。

 

イベント情報

〈Eye Care Strategy Seminar〉(専門医認定事業・2単位)
    7月2日(土)(18:00~20:00)
    場所:セルリアンタワー東急ホテル

      講演:「やさしい角膜診療:角膜病変診察のコツから手術まで」
             前田 直之先生 (大阪大学医学部眼科学教授)
       講演:「Indocyanine green(ICG)生体染色手術」
             堀口 正之先生 (藤田保健衛生大学医学部眼科学教授)

〈第7回西東京眼科フォーラム〉(専門医認定事業・2単位)
    9月 3日(土)15:00~16:30
    場所:杏林大学医学部・大学院講堂

    特別講演:「外来小手術」 
           江口 秀一郎先生 (江口眼科病院)

〈第44回東京多摩地区眼科集談会〉(専門医認定事業・2単位)  
    10月22日(土)14:00~17:00
    場所:杏林大学医学部・大学院講堂
  
    教育講演:「日常診療に役立つ眼腫瘍の診かた」
              後藤 浩先生 (東京医科大眼科)

 

編集部より

 杏林アイセンターの目標はあらゆる専門分野をカバーすることです。スタッフの数には制限がありますが、小さなグループが少しずつ大きくなってきています。患者さんも少しずつ増えて臨床カンファレンスの内容も幅広くなってきているのを実感します。今後さらにスタッフの充実と幅広い臨床の研鑽と教育に努力するつもりです。〈 T.H. 〉

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