水晶体部の活動と近況について

水晶体部:永本 敏之、渡辺 交世
中野 敦雄、並木 泉

水晶体班は1998年より永本准教授を中心に白内障手術・教育体制および水晶体研究体制の整備に力を入れ活動を行っています。現在水晶体班は永本を筆頭に以前のニュースレターでもご紹介させていただいた並木、渡辺に加え、2006年に出張病院から帰室した中野の4人で活動しています。(写真1)ここ数年の水晶体班の活動状況について報告させていただきます。

1.外来

外来は水曜日の午後に再診の方が対象の水晶体外来を行い、金曜日の午前中に永本准教授による紹介初診の方を含めた外来を行っております。近隣の先生方から小児や難症例を含む、白内障手術目的を中心としたご紹介をいただいております。小児の白内障は、特に低年齢の場合手術手技的にも術後管理においても難しいものがありますが、当科では術後の視機能生活上の質も考慮し積極的に眼内レンズ挿入を行っており、良好な成績を得ております。またアトピー白内障においては網膜病変を合併することが多いため、基本的には入院手術で対応させていただいており、網膜硝子体班との協力により白内障術中に眼底検査を行い必要であれば追加処置を行うことも可能となっています。最近は2nd opinionにての来院、特にメディアの影響により本やインターネットで情報をキャッチされた患者さんも来院されるようになり、外来患者数は年々増加しております。

2.手術

白内障手術は患者さんの希望、視機能の状態により日帰りおよび入院手術両方の対応が可能となっています。ここ3年間の白内障手術(PEA+IOL)の件数は、2005年1173件、2006年1378件、2007年1225件となっており前回ニュースレターでご報告させていただきました2004年の約950件から順調に増加しております。

永本以下水晶体班メンバーのここ3年の手術件数についてご紹介させていただきます。永本は2005年568件、2006年676件、2007年600件となっており、並木は2005年117件、2006年174件、2007年51件中、トータルでは342件。渡辺は2005年53件中、2006年84件、2007年72件。中野は2006年42件、2007年108件。(表1)それぞれの術者が永本准教授の指導の下、確実な手術技術の修得に加え、難症例を含めあらゆる白内障手術に対応できる術者を目指し、各自レベルアップに努めております。

表1

3.教育

近年医療に対する患者意識の変化、インターネットやマスコミなどによる医療情報の氾濫から白内障手術はより確かな技術が要求されています。そのため研修医の教育は非常に重要になってきていますが、ほぼ全例局所麻酔という眼科手術の特殊性がその教育を困難としている状態があります。当院での手術教育は、毎週火曜日の白内障手術勉強会と、月3回のウェットラボ、および実践的な手術指導を行っています。研修医だけでなく手術を始めた専攻医も参加しており、学ぶものが多いという感想を得ています。白内障手術は術者も多く、一般に広まっている手術であり、その方法には様々なバリエーションがありますが、1つ1つの手技の意味を考え、侵襲を最小限にとどめようと努力し、あらゆる起こりうる危険性を予測して手術を進めていくことが、いかに重要であるかを研修医のうちから学んでいくようにしています。

以上が水晶体班の近況報告となりますが、近隣の先生方からは安心して手術の患者さんをご紹介いただけるよう、これからもよりよい手術・医療の向上を目標として、邁進していく所存です。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

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