眼窩・眼瞼外来のご紹介

写真向かって左は、お手伝いしてくれている五月女先生

眼窩・眼瞼部:今野 公士

杏林アイセンター眼窩・眼瞼外来は、毎週水曜日の午前枠で診察しています。前任の忍足先生が6年前に発足させ、現在は今野が1人チーフとして担当しております。内容がかなりマニアックですので、なかなか近隣の家業医の先生方からはなじみがうすい疾患が集まります。逆にいえば「なんだこりゃ?」と思われる疾患は意外と眼窩疾患である子とが多いようです。ここでは眼窩外来において、どのような症例を診察しているか御紹介したいと思います。まず、金林からの紹介状で多いのは眼瞼下垂(皮膚弛緩を含む)、鼻涙管閉塞症、そして眼瞼腫瘍がBEST3です。眼瞼下垂に関しては当院の形成外科、中でも美容外科が開設されておりますのでそちらを受診される方も多いようですが、当科では美容より機能改善目的の下垂を適応としており、片眼ずつの日帰り手術を施行しています。鼻涙管閉塞症は、通水試験で通水不可の症例を手術対象としております。方法は涙道内視鏡を用いたシリコンチューブ留置術です。3ヶ月間チューブを留置してから抜去しております。ただし、涙小管閉塞症は適応としておりません。眼瞼腫瘍は様々な症例が紹介されます。悪性度の高い脂腺癌などは拡大切除も考慮して形成外科を受診していただく場合もあります。その他、悪性疾患では、基底細胞癌、外毛根鞘癌などがあります。良性疾患では脂漏性角化症、母斑、乳頭腫、時には霰粒腫などです。眼窩内腫瘍においては、涙腺多形腺腫、血管腫、悪性リンパ腫などが多く見られます。また、眼窩外来には外傷患者が多く受診されるのも特徴です。主にBlowoutですが、特に学童期のtrap door typeなどは緊急性を要するので注意が必要です。また、内科的治療で多いのは、炎症性偽腫瘍、急性涙腺炎、甲状腺眼症などにおけるステロイドパルス治療です。最後に少数例ではありますが、片側顔面神経痙攣におけるボトックス治療を行っております。ただ、投与前にMRIを施行し、前下小脳動脈と顔面神経の走行の関連性を必ずチェックしております。時折、小脳腫瘍などの頭蓋内病変を発見することもあるので重要性を痛感します。現在は小生の都合で週1回の外来ですが、なんとかがんばっております。御紹介いただいた患者様をなるべく迅速な対応がとれるように、当科で対応困難な場合(緊急疾患や難疾患)は慶応大学病院眼窩外来などへの、同様の診察・加療のできる施設との連携をとっております。今後とも宜しくお願い致します。

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